細胞のしくみを
分子レベルで解き明かす
新奇酵素を発見し、
その未知の性質を明らかにする
酵素は優れた触媒機能を有するタンパク質であり、細胞中には膨大な種類の酵素が存在しています。我々は古細菌や真正細菌といった微生物を中心に、各種生物に存在しながらこれまで見過ごされてきた新奇な酵素を発見し、構造、機能、活性制御機構など、その未知なる性質を明らかにする酵素学研究に取り組んでいます。
私たちの健康と疾患の状態を
決定するタンパク質分子を探る
私たちの体は健康な時、約2万余の蛋白質がそれぞれ役割を果たしながら、生命活動が順調に行われています。しかし何らかの原因で破綻が起こると、細胞・組織・個体レベルで様々な応答が起こり、これが適切でない場合、疾患状態になります。私たちの研究室では、蛋白質を修飾する酵素や皮膚表皮を成長(分化)させる因子、血液凝固因子などを研究対象に、ヒトの細胞や組織で起こる現象を生物科学の様々な先端的手法で研究しています。
遺伝子が生物の形をつくる
しくみを解明する
アサガオ、ショウジョウバエ、マウスなど、生物は種ごとに決まった形をしています。これは遺伝子が形を決めているから。でも、どういうしくみでそれが実現されているのかはよくわかっていません。私たちは花粉を材料に「遺伝子が花粉の形を決めるしくみ」の解明に取り組んでいます。農学部の中ではこのような基礎的な研究もたくさん行われています。
細胞が栄養やストレスに
応答するしくみを理解する
私たちの体を形作る多様な細胞は、栄養素や病原体、そして種々のストレスなどを的確に感知し、増殖や運動、細胞死といった適切な応答へと導くしくみをもっています。そのしくみの破綻は、細胞の異常増殖によるがんや神経細胞死による神経変性につながります。私たちは、応答のシグナルとして細胞が利用しているカルシウムイオンやアミノ酸に注目して、それらを感知するタンパク質のはたらきを解析しています。そして、タンパク質の変異や機能欠失が原因となって発症する疾患の予防や健康寿命の延伸に貢献する研究を展開しています。